ビタミンの知識

はじめに

ビタミンを知らない人はいないでしょう。ビタミン剤は言うまでもなく、多くの健康食品などに添加されている栄養素です。では、ビタミンについてどれだけのことをご存じでしょうか。本書は、意外に知っているようで知らないビタミンについて、できるだけ解りやすく説明すると同時に、その実際的な活用法を詳しく解説したものです。健康的な食生活を送るための手引きとして、どうかフルに活用いただければ幸いです。

1章 ビタミンについての基礎知識

 第2章 目と肌のビタミン、ビタミンA

 第3章 お互いに協力し合って代謝に重要な働きをするビタミンB

 第4章 美容だけでなく、さまざまな働きで注目を集めるビタミンC

 第5章 脂溶性という共通点はあっても、それぞれ独自の働きをするビタミンDEK

 第6章 健康を保ち、不快な症状を解消するためのビタミン活用法

 第7章 ビタミンをとるための2つの方法とビタミン剤の上手な利用法

これらの内容は

()主婦の友社刊行の書籍『ポケットクリニック/完璧活用 ビタミンブック』

(東京都済生会中央病院内科・鈴木クリニック副院長 鈴木吉彦著)にもとづいています。

1章 ビタミンについての基礎知識

ビタミン=健康の素というぐらいの知識はだれもが持っています。しかし、正しくビタミンのことを把握しているかというと、意外とあいまいなままであることが多いようです。そこで、まず最初に、これほど身近な栄養素ビタミンの素顔について、大事なポイントにしぼってお話ししましょう。

1.ビタミンとは何か?

2.ビタミン」という名前がつけられた理由

3.ビタミンは現在13種類あります

4.「ビタミンのような」ビタミンもあります

5.ビタミンは脂溶性水溶性2つに大別できます

6.各ビタミンによって微量の意味が違ってきます

7.栄養素としてのビタミン--ビタミンの生理作用

8.クスリとしてのビタミン--ビタミンの薬理作用

9.ビタミンが人間に与える影響を示すにもいろいろ種類があります

1.ビタミンとは何か?

まず、ビタミンとはどんなものか、正しく知っておきましょう。その定義ですが、「人の健康をつうえでなくてはならない栄養素のうち、体内で合成できないか、必要量を合成できないため、微量をとる必要のある有機化合物(炭素を含む化合物)」が、ビタミンです。

わかりやすく言うと、不足すると病気になったり、極端な場合は死にいたることさえある栄養素で、人間の体の中で必要な分量を作ることができず、外からとり入れない限り必要な量を満たせない栄養素で、1日に必要な量は、ほんの0.0何g以下(mg単位以下)の物質が、ビタミンです。わずかな量で大事な働きをする栄養素にミネラルもありますが、無機質であるため、ビタミンとは区別しています。

 

2.「ビタミン」という名前が付けられた理由

「ビタミン」という名前は、ポーランドの学者フンクが、生命維持に必要な(=ヴァイタル)アミン(=窒素基を持つ物質)という意味で、vitalamine 、つまりvitamineと名づけました。

しかし、その後、次々と発見された同様の物質が、必ずしも窒素基を持つものではないことがわかったため、語尾のeを除いたvitaminという表記が定着しました。

ABC……というアルファベット順の呼び方は、命名法が決まってからはKを除いて、発見された順番に付けられています。数多くのビタミンが発見されるようになってくると、あるビタミンはその作用で、また別のビタミンは実験に使われた生物などの頭文字をとって名付けられるようになりました。

3.ビタミンは、現在13種類あります

ビタミン発見の歴史の一時期、GHIなど非常に多くの物質がビタミンとして主張されたことがあります。しかし、研究が進むにつれて同名異種が見つかったり、数種のビタミンの混合物であることがわかったりして整理され、またビタミンの定義が確立されると同時にビタミンから外される物質が続出しました。こうして結局、現在ビタミンとされているものは13種類となっています。

ところで、ビタミンは、それぞれ化学名を持っています。学者や研究者がビタミンを呼ぶとき、現在では化学名を使っています。ビタミンなどの薬の効能書の含有成分も、化学名で記すのが主流になっています。

4.ビタミンのようなビタミンもあります

現在、正式にビタミンという名称を持っている物質は実は20種類を超えています。しかし、ビタミンとされるのは、前項でもお話ししたように13種類。数が合いません。

実は、ビタミンという定義からははずれますが、ビタミンと同じ作用をする物質にも「ビタミン」という名前を与えているのです。「ビタミンのようでビタミンではない」というまるで落語のような()話ですが、ビタミンという名称は慣用的に使われているだけで、正確にはビタミン関連化合物またはビタミン様物質と呼びます。

ビタミン関連化合物も、人間の役に立つことはたちます。しかし、欠乏したからといって特別の症状は出ないものなのです。ビタミンFPUBTB13、ユビキノン、イノシット、コリンなどが代表的なビタミン関連化合物にあたります。

5.ビタミンは脂溶性水溶性2つに大別できます

ビタミンには性質として脂溶性水溶性の二つのタイプがあります。脂溶性ビタミンとは油脂にしか溶けないビタミンのこと、水溶性ビタミンとは水に溶けるビタミンのことです。

水溶性ビタミンは、大量にとって血液中の濃度が高くなると、必要量以上の分は尿となって体の外に出てしまいます。そのため、一般に、とり過ぎたために問題が起こることはありません。

一方、脂溶性ビタミンは水に溶けにくく尿に排泄されないので、必要以上にとると体の中に蓄積されやすく、過剰症を起こす心配があります。

6.各ビタミンによって、「微量」の意味が違っています

ビタミンの定義に「微量をとる必要がある」とありますが、その「微量」とは、13種類のビタミンそれぞれによって異なります。実際、ビタミンに使われる重さの単位は、各ビタミンに応じて変わってくるのです。

現在、ビタミンの量をあらわす単位として、mg(ミリグラム)μg(マイクログラム)IU(アイユー)3つが使われています。

1グラムの千分の一がmgで、これはビタミンB1B2B6CE、パントテン酸、ナイアシン、葉酸、など多くのビタミンで使われます。

mgの千分の一がμg、つまり1gの10万分の一がμgです。ビタミンB12、ビオチン、ビタミンKなど量が少なくてよいものはこの単位を使っています。

IUは厄介です。ビタミンAの場合は1IU0.3μg、ビタミンDの場合は0.025μgと、ものによって、基準が異なってくるという不思議な性質を持っています。IUとはインターナショナル・ユニットの略で国際単位という意味。つまり国際的に決められた、重さではかりにくいビタミンのための単位で、主に脂溶性のビタミンに使われます。

7.栄養素としてのビタミン  -ビタミンの生理作用-

ビタミンの働きは、二つあります。ひとつは生理作用、もうひとつは薬理作用です。

まずビタミンの生理作用ですが、これは必要な栄養素としての役割のことです。ビタミン不足で病気にかからないため、また人間の生命を維持するための基本的な働きです。この働きの説明によく使われるのが「ビタミンは機械の潤滑油である」というたとえ。体が機械、栄養素が原料とすれば、機械が製品を作り続ける(つまり、生命を保ちつづける)際に、機械を長持ちさせ故障を防ぐために常に必要なのが潤滑油、つまりビタミンというわけです。簡単に言えば、体の働きを助けて、その調子を整える働きということです。具体的には、現在、補酵素としての働きとホルモンに似た働きが考えられています。

補酵素としての働きとはどのようなものでしょうか。私たちが食物を食べ、それらの成分を分解し、エネルギーに変えて運動に使ったり、血や肉や体内組織を形作る細胞を構成する物質を合成したりすることを、代謝といいます。この代謝をなめらかに進めるのに必要なのが酵素です。そして、それを助けるのが、補酵素です。ビタミンは、この補酵素の役割を果たすのです。この補酵素としての働きをする代表選手が、ビタミンB群です。ホルモンのような働きについての説明は、かなり専門的になるので、ここでは割愛しますが、ビタミンDにその代表的な働きが見られるとだけ申し上げておきましょう。

 

8.クスリとしてのビタミン  -ビタミンの薬理作用-

次にビタミンの薬理作用について、お話ししましょう。ビタミン研究の中で、さまざまな動物実験を重ねるうちに、ビタミンを大量に与えると、生理作用とは別の、薬としての効果が現れることがわかってきました。これがビタミンの薬理作用で、病気を予防し治す働きです。きっかけを作ったのは、アメリカのノーベル賞化学者L・ポーリング博士が1969年に著した『ビタミンCとカゼ』という本でした。その後、世界各国の学者により、ビタミンの薬理作用について、さまざまな研究が続けられて、徐々に解明が進んでいます。

9.ビタミンが人間に与える影響を示すにもいろいろ種類があります。

ビタミンについて、私たちがいちばん知りたいことは、どのくらいの量をとれば健康を維持・増進でき、欠乏症に陥らないか、ではないでしょうか。実際、ビタミンについての雑誌記事や新聞記事、あるいはビタミン剤の効能書きなどには、「所要量」とか「必要量」といったことばがしょっちゅう出てきます。それだけでなく、それぞれのビタミンによって分量が異なっています。何となくわかったようでわからないこれらの量は、毎日の食生活にとって、大いに参考にし、目安にしなければならないものです。

そこで、私たちにとって、ビタミンにはどのようながあって、それぞれ何を意味するものか、下にまとめてておきました。

ビタミンに使われるさまざまな  -注目したいのは所要量と薬理量です。-

健康を維持するために毎日補給しなければならない量のこと。いいかえれば、消化・吸収されたのち、体が必要とする量のことです。

ある量以上のビタミンをとると、尿の中への排出が急に増えてきます。それ以上体が要求していない量で、ちょうどその境目の量のことをいいます。脂溶性のビタミンの場合、尿 に排出されず体にたまるので、飽和量はありません。

一般に、健康な人が健康を維持するために必要な量として、目安や参考にされることの多い量です。原則的には、欠乏症を防ぐ最低水準(所要量最小必要量)に、一定の安全率(2割前後)を上のせした量のことです。一人1日当たりの所要量は、年齢別、性別、労働強度別、妊婦・授乳婦別の所要量が加味された平均値がとられます。ビタミンC以外の水溶性ビタミンでは、飽和量が所要量になっています。

食品に含まれるビタミン量はわかっていても、保存の程度や調理などでビタミンは損失します。また食べた量が100%吸収されるわけではありません。そこで所要量を知るためには、それらの点を考慮した「摂取量」が必要になります。つまり、健康維持には、正味の摂取量と所要量が同程度になる必要があるわけです。

生理的必要量

一般に、所要量=生理的必要量と考えられています。ただ、一部のビタミンについて、その生理作用が十分に解明されていないので、その摂取量研究の際などに使われます。

病気の治療や予防を目的としたときに効果が上がる量のことをいいます。当然、「所要量」よりは大きなことが多いようです。

よりよい健康状態をつくりだし、それを維持していくために必要な量は「保健量」です。 生理的必要量と薬理量から割り出すべき量で、その二つの量の中間的な性質を持ちます。

2章 目と肌のビタミンビタミンA

ビタミンAといえば、子どものころよくとらされた肝油や、どうも好きになれなか ったニンジンなどを思い出すのでは? それに足りないととり目になることもよく知られています。ここでは、ビタミンA の全体像をしっかりつかんでください。

1.ビタミンAとは、レチノールのことです

2.目と肌、粘膜のビタミン.  -ビタミンAの働き-

3.ビタミンAを多く含む食品

4.ビタミンAが不足すると、こんな症状が出ます

5.ビタミンAは一日にどのくらいの量をとる必要があるのでしょうか?

6.ビタミンAは、とりすぎにも注意が必要です

7.ビタミンAをじょうずにとる調理のコツ

8.ビタミンAβ-カロチンはガン予防に大きな働きをします

1.ビタミンAとは、レチノールのことです

ビタミン学の引きがねともなった第1号のビタミンが、ビタミンAです。よく知られているように、極端に不足すると、とりめ(=夜盲症)になることから発見されました。ビタミンAは、天然には化学名でいうとレチノール、レチナール、レチノイ酸の3種類があります。

レチノイ酸は、多少、生理作用が違います。もっとも多く見られるのがレチノールで、ふつうビタミンAといったときには、このレチノールという物質をさします。レチノールは動物性の食品にだけ含まれており、植物には含まれていません。

ところで、ビタミンAといった場合、よくカロチンという言葉を聞きます。実は、植物にもプロビタミン(ビタミンAになる前の物質)であるカロチノイドという色素がたくさん含まれています。そして、このカロチノイドの種類としてカロチンがあるのです。

カロチンにはα(アルファ)カロチン、β(ベータ)カロチン、γ(ガンマ)カロチンがあります。中でももっとも多いのがβカロチンで、これが今ガン予防の栄養素として注目を集めていることは、すでにご存じの人も多いでしょう。このβカロチンは、レチノールが2分子結合したような形をしており、体の中で変化して、ビタミンAの効果を発揮します。

こう見てくると、私たちが食物からとる身近なビタミンAとしては、レチノールと、プロビタミンAとしてのβカロチン2種類あるということになります。

2.目と肌、粘膜のビタミン  -ビタミンAの働き-

ビタミンAは、人間の体を構成する細胞、特に上皮細胞と深い関わりを持っています。

体内は、消化器系の臓器を主として、多くの部分が上皮細胞のひとつである粘膜におおわれています。口の中や目も同様です。粘膜は常に、分泌物でなめらかにうるおっていなければなりません。ビタミンAは、こうした粘膜の形成を促し、同時に粘液の分泌を行って粘膜の働きを正常に保っているのです。

粘膜だけではありません。やはり上皮細胞である皮膚の新陳代謝を促し、肌荒れや老化を防いでいます。また細菌などに対する抵抗力を増して、病気にかかりにくくもします。さらに、目の機能を保って視覚作用に重要な働きをしたり、骨の発育にも深く関係しています。

こうした働きのため、ビタミンAは、よく目と肌のビタミンとか、目と粘膜のビタミンなどと呼ばれてきました。

3.ビタミンAを多く含む食品

100gあたりの含有量を示しながら代表的な食品を紹介しましょう。

使われている単位IUについては、こちらをご覧ください。にんじん100gは、平均すると3分の1本ですが、これだけで4,100IUのビタミンAが含まれています。

ほうれん草には同じく100(6)あたり1,700IU。しかしなんといってもレバーに多量に含まれています。牛のレバーには40,000IU、豚のレバーには43,000IU

ほかにうなぎは100gで5,000IU、牛乳は同じく1,200IU、卵黄だと1,800IUというのが、代表的なビタミンA食品というところでしょうか。

なお、ビタミンAを、野菜などのカロチンだけでとるときは、レチノールの3倍の量をとる必要があります。カロチンの腸からの吸収率が、レチノールの3分の1であるためです。

4.ビタミンAが不足すると、こんな症状が出ます

ビタミンAが不足すると、さまざまな症状(欠乏症)があらわれてきます。 軽い欠乏症としては、次のようなものがあげられます。

暗順応失調を起こします

かつては、夜盲症がビタミンA欠乏症の代表でした。しかし、今どき、夜盲症になるほどの重いビタミンA欠乏は、めったにありません。ただ、不足気味だと、暗順応が落ちます(暗順応失調)。これは映画館など暗い場所に入ったとき、目がなかな闇に慣れず、ものが見えにくい症状です。正常な人よりA欠乏の人のほうが、暗がりで視覚を取り戻すのに時間がかかるのです。

そもそも、私たちが光の強弱を感じて視覚をのは、眼球の網膜の上にあって明暗の刺激を神経に伝える視紅(ロドプシンという視物質)の働きによるものです。このロドプシンの一部は、ビタミンAからできているため、Aが不足すると弱い光を感じなくなり、そのため暗順応失調が起こるのです。

 ● 視覚機能が低下します

本などを読んでいて、いきなり遠くを見るとピントが合いにくい、などといった状態もビタミンA不足です。

        皮膚がカサカサになります

皮膚が乾燥してカサカサになったり、白く粉をふいたようになったり、鳥肌が立ったように荒れたり、またニキビが出たりします。ビタミンAが不足して、鼻やのど、気管の粘膜が弱くなり、抗菌力が落ちてカゼウイルスなどを素通ししてしまうためです。

目がショボつきます

目がショボショボして、眼球が乾いた感じになることもあります。Aの不足で、眼球の粘膜の代謝が妨げられたため起きます。以上の他にも、次の症状もビタミンA不足が疑われます。

食欲がなく、胃がむかつき、なんとなく体がだるい

髪につやがなくなり、抜け毛が増え、白髪も多くなる

歯ぐきが弱り、歯がぐらついてくる

鼻の粘膜が乾いて、物の匂いなどが感じられなくなる病的な欠乏症としては、いうでもなく夜盲症があげられますが、その他にも、成長停止、生殖不能、感染症に対する抵抗力の低下、結膜炎、角膜炎、角膜軟化症、失明、皮膚・粘膜の角化などがあります。

5.ビタミAは一日にどのくらいの量をとる必要があるのでしょうか?

ビタミンA不足にならないためには、1日にどのくらいの量のビタミンAをとらなければならないのでしょうか。わが国の栄養所要量では、大人の男性で2000IU、同じく女性では1800IUとされています。以前は6000IU説を唱える学者もいましたが、体内での蓄積による過剰症が心配されて、このような値になりました。

2000IU分のビタミンAをとるために、どれくらいの量の食品をとらなければならないのか?卵ならば1個強、牛乳ならば180mlです。野菜などのカロチンでとる場合は、人間の腸のカロチンの吸収率は、動物性のレチノールに比べ、3分の1しかないと言われているので、3倍の量が必要です。

ほうれんそうだと350g、にんじんだと1本半ということになります。やはり動物性のレチノールを中心に考えたほうが現実的になると思います。ビタミンAについては、1日にこれだけの食品をとっていれば、まず欠乏症は起こしませんし、十分に健康を保てるわけです。

6.ビタミンAは、とりすぎにも注意が必要です

ビタミンAは、脂溶性のビタミンであるため、大量にとると過剰症をひきおこすことがあります。日本では一般に、1日の摂取量の上限は6000IUとされています。アメリカのデータでは、1日に35000IUまでは心配なく、75000IUで中毒症状が起こると報告されています。

ちなみに、急性の過剰症の場合は、胃や腸に変調をきたして下痢を起こします。また、1日に30万~40IUをとったり、1日の必要量の50倍以上の量を何か月も続けてとったりしていると、頭痛や吐きけが起こり、肝臓がはれたりします。さらに、15000070000IU1カ月以上とり続けると慢性の過剰症として、手足の痛み、発疹、脱毛を起こします。ただ、ふつうの食事を続けている分には、過剰症は、まず起こりません。問題となるとすれば、ビタミン剤の飲みすぎが考えられます。

7.ビタミンAをじょうずにとる調理のコツ

ここで、β-カロチンをはじめとするカロチノイド色素が、どのようにしてビタミンAになるかお話しておきましょう。

まず小腸で吸収されたのち、一部はカロチノイドのままで利用され、残る大部分は酸化されてレチノール、つまりビタミンAに変わるのです。野菜に含まれているカロチノイドの60%が、ビタミンAに変わる可能性があるとされています。

ところで、レチノールはアルコールの一種で、小腸の脂肪吸収作用によって、そのまま吸収されます。一方、カロチノイドは、油に溶けた状態のほうがずっと吸収がいのです。実験では、レチノールのほうは常に8090%の吸収率を示すのに対し、β-カロチンはそのままだとわずか10%以下です。これが油に溶けると80%前後まで吸収率が上がります。

つまり、カロチノイド色素を多く含む緑黄色野菜については、油といっしょに調理するとビタミンAが体に吸収されやすくなるのです。ほうれん草やにんじんからビタミンAをとりたいときは、おひたしや煮物よりは、軽くいためたソテーやドレッシングをかけたサラダにしたほうがいいわけです。

ビタミンAは、調理すると、平均して約1020%損失するといわれていますが、このような調理の工夫で、その損失を補ったうえに、むだなく上手にAがとれるわけです。なお、ビタミンAは酸化に弱いので、ミキサーを使うなどの空気と接触することの多い調理法は避けたいものです。

8.ビタミンAβ-カロチンは、ガン予防に大きな働きをします

ビタミンAは、ガンの予防効果があり、制ガン作用があるといわれています。

ビタミンAとガンとの関係ついては、すでに1926(昭和元年)に内務省栄養研究所の藤巻良知氏が、ビタミンA欠乏のラットに上皮細胞ガン、特に胃ガンが発生しやすいことを報告しています。その後、近年になって、内外を問わず、ビタミンAにガン予防効果があることが、次々と報告されています。

日本では、1984年の秋、日本癌学会総会で、日本がんセンターが行った緑黄色野菜の摂取とガン死の間に高い相関関係があるという発表が、ガンとビタミンAとの関係に注目を集めるきっかけとなりました。

現在、実際に血液中のビタミンAの濃度と発ガン率との間に相関関係があると報告されることもあります。最近では、プロビタミンAであるβ-カロチンにも、発ガンを抑える働きがあることがわかりました。

ビタミンAの抗ガン効果は、気管などの呼吸器、胃や腸、膀胱などの粘液の分泌を促すことで、細胞を発ガン物質から保護することから生じます。事実、このような上皮粘膜でおおわれた場所のガン発生を抑える効果は、かなりはっきり確かめられています。

また、ビタミンAが不足すると、粘膜が乾き、やがて萎縮して脱落し、かわってかたく厚い細胞が誕生し、これがガンに変化することがあります。ビタミンAが足りていれば、このような事態を引き起こすこともないわけです。

3章お互いに協力し合って代謝に重要な働きをするビタミンB

ビタミンB群といっても、ビタミンACEなどとくらべるとなじみが薄いかもしれません。しかし、非常に重要な働きをし、最近では皮膚の健康を守るという美容の面でも注目を集めています。

1.ビタミンB群は大家族。命名の由来もさまざまです

2.ビタミンB群は、協力して働きます

3.脚気の治療で発見されたビタミンB1は糖質の代謝と神経の調整にかかわっています

4.ビタミンB1不足は、夏バテとまちがいやすい欠乏症を引き起こします

5.こんな生活をつづけている人はB1不足になりかねません

6.ビタミンB11日にどのくらいの量をとる必要があるのでしょうか

7.ビタミンB1はこんな食品に多く含まれています

8.調理法で、B1の量が大幅に違ってきます

9.光に弱いビタミンB2は、脂肪の代謝と細胞呼吸に関わっています

10.ビタミンB2が不足すると、こんな症状が出ます

11.こんな人、こんな場合はビタミンB2不足に注意

12.ビタミンB2の所要量と多く含まれている食品

13.とりにくいビタミンB2をじょうずにとるコツ

14.ビタミンB6は、タンパク質の代謝にかかわっています

15.ビタミンB6が不足すると、こんな症状が出ます

16.ビタミンB61日の所要量と多く含まれている食品

17.赤いビタミンと騒がれたビタミンB12、その働きと欠乏症

18.ビタミンB12の所要量と多く含まれている食品

19.ナイアシンはこんなビタミンです

20.自然界に広く分布するビタミン、パントテン酸

21.発育を促進する働きを持つ葉酸

22.所要量を腸内細菌がつくってくれるビオチン

1.ビタミンB群は大家族。命名の由来もさまざまです

ビタミンB群は大家族です。

ビタミンとしてB1B2B6B12、パントテン酸、ナイアシン、葉酸、ビオチンがありますし、ビタミン関連化合物のビタミンBT、コリンなどをも含めると10種類を超えます。

このようにたくさんの種類があるのは、当初、ひとつのビタミンと考えられていたからです。それが、多くのビタミンから成り立っていることがわかって、次々に独立していきました。そして、発見順にB1B2……と、アルファベットの右下に小さく数字を入れて表すようになりました。

ただし、B3B4B5が欠番になっています。それは、次の理由によります。ビタミンB3はパントテン酸と同じ、B4はグリシン、アルギニン、シスチンといった3種類の物質の混合物か、あるいはB2B6の混合物といわれていますし、B5はどうやらパントテン酸と同じらしいということで、外されていったのです。

ビタミンBTのように、右下に小さなアルファベット文字がくっついたものもあります。このTは、コメゴミムシダマシの原語の頭文字で、その昆虫の成長にとって重要な働きをすることから名付けられました。ちなみに、葉酸は、ほうれん草から見つかったので葉(原語はFolium)からフォリック・アシドと呼ばれ、そのまま葉酸と日本語に訳されました。パントテン酸も、動物界に広く分布するということから、ギリシア語のパン(“広くという意味)が頭につきました。


2.ビタミンB群は、協力して働きます

ところで、B群のビタミンが、なぜ群としてまとめられているのでしょうか。それは、食事からとった糖質、タンパク質、脂肪などの栄養素を、肝臓などの内蔵器官や筋肉を始めとした全身の細胞で、分解し燃やしてエネルギーにかえるとき、ビタミンB群が分担し協力しながら重要な働きをしているからです。

その重要な働きとは、補酵素という共通の働きです。そして、共通性はあるものの個々の生理作用は違うので、それぞれ独立したビタミンとして扱っているのです。

3.脚気の治療で発見されたビタミンB1は糖質の代謝異常と神経の調整に関わっています

日本にはかつて、たとえば1923(大正12)1年間に約3万人もの死者を出す病気がありました。それは脚気(かっけ)です。現在でこそ脚気はビタミンB1欠乏症として知られ、めったにお目にかかれる病気ではなくなりましたが、当時は結核と並ぶ二大国民病だったです。

この脚気の治療ビタミンとして、ビタミンAとともにビタミン学の初めに発見されたのが、ビタミンB1です。ビタミンB1とは、化学名でいうサイアミンという物質のことです。水溶性で、人間の体の中では合成できません。一度にいくら大量にとっても、血液中の濃さがある一定の飽和量に達してしまえば、余った分はすべて尿の中に排泄されてしまいます。

さて、このB1の働きですが、なんといっても糖質代謝の仲立ちをする酵素を助ける(補酵素の働き)ことにあります。もっと簡単に言えば、体の中で糖質を分解してエネルギーに変えるのに必要なのがB1なのです。ビタミンB1が不足すると、糖質の分解が途中でストップし、エネルギーの生産がスムーズに行われなくなります。中間代謝物である乳酸などの疲労素もどんどんたまってしまいます。脳や神経は、糖質からできるエネルギーを必要とすることから、ビタミンB1は、神経系の働きの維持や調整にも大きな役割をになっています。また、消化機能を刺激したり、消化液の分泌を促進する働きもあります。

4.ビタミンB1不足は、夏バテとまちがいやすい欠乏症を引き起こします

ビタミンB1が不足すると、次のような、さまざまな症状が現れます。

エネルギー代謝が不調になるため、食欲がなくなり、とても疲れやすくなったり、全身がだるく感じるようになります。また、体内に水分がたまるため、手足や、さらには全身がむくんだりします。

血液の循環が悪くなって動悸・息切れ、心不全など、心臓病のような症状が出ます。

足がだるい、手足がしびれる、マヒするなどの末梢神経に異常を起こします。

熱さや冷たさなどを感じなくなるなど、知覚が鈍くなります。

めまい、肩こり、頭が重いなど、自律神経失調症とまちがわれるような症状が出ます。
思考能力が落ち、イライラしたり、怒りっぽくなるなど情緒不安定になります。
胃のあたりがシクシクし、胸やけや吐きけなどの胃腸障害を起こしやすくなります。
腸の動きがマヒしてしまい、便秘と下痢を繰り返すようになります。

体がだるいくらいだと、おなじみの夏バテと思ったりして、自分でもB1不足だと気がつかないことが多いものです。ある調査によると、最近、潜在性のB1欠乏症の人が増えているそうです。こんなB1欠乏状態が続くと、やがて思わぬ大病を引き起こすことにもなりかねません。

5.こんな生活をつづけている人はB1不足になりかねません

ともすればビタミンB1不足を起こしやすい生活や習慣というものがあります。

まず、ダイエットをしている女性は、食事の偏りによるB1不足が心配されます。朝食抜きで出勤するビジネスマンやOLも要注意。昼食をハンバーガーや菓子パン類だけで済ませる人や、インスタントラーメンだけでおしまいという主婦も、ビタミンB1欠乏症の予備軍です。また、ごはんの大盛りとおかずチョッピリといった食事を続けることも、B1不足を招きかねません。

抗生物質を長期にわたって飲んでいる人もB1不足に注意。また、間食が多く清涼飲料をガブ飲みし、好き嫌いのはげしい子供は、いつビタミンB1欠乏症になってもおかしくありません。

6.ビタミンB11日にどのくらいの量をとる必要があるのでしょうか?

それでは、私たちは1日にどのくらいのB1をとらなければいけないのでしょうか。1日の所要量は、大人の男性で1.0mg、同じくおとなの女性で0.8mgといわれています。しかし、これはあくまで平均的な所要量。一人一人の労働や活動状態、食生活の内容によって必要な量は変わってきます。

たとえば仕事やスポーツで肉体を酷使している場合は、エネルギーを多く消費しているわけですから、それに応じて多くとらなければなりません。暑いときなども体力を消耗しがちなので、多めにとったほうがいいでしょう。すでに欠乏症があらわれている人は、ふつうの人以上に多くの量をとらなければ、症状の改善にはなりません。

7.ビタミンB1はこんな食品に多く含まれています

日本人は、主食であるお米から最も多くのビタミンB1をとっています。ただ、B1が多く含まれているのは、米ぬかや胚芽の部分。つまり、精白米より玄米のほうがB1の量が多いのです。胚芽米やビタミン強化米にも、多く含まれています。豚肉もB1が多く、牛肉の10倍もの量が含まれています。

8.調理法で、ビタミンB1の量が大幅に違ってきます

B1は、水で洗うと流れ出やすい性質を持っています。たとえば強化米であっても、とぐ段階で、どんどん流れ出てしまうのです。炊き上がったご飯に含まれているB1の量が半分に減っていたという話しもあるくらいです。当然、煮汁にも流れ出るので、B1が多いといわれている大豆にしても、含め煮をして煮汁も飲むくらいでないと量はとれません。

また、水に溶けている状態のB1は、熱、アルカリ、化学物質に弱く、簡単に分解してしまいます。こんなことから、調理による損失率が平均30%というデータが出てくるのでしょう。ですから、水煮にして強く加熱したり、アルカリ性の胃薬といっしょにとるのは避けたほうがいいということになります。

さらに、生の貝類にはB1分解酵素が、鯉にもアノイリナーゼというB1を壊す成分が含まれているので、これらの食べ過ぎも要注意。なお、生のカニにもB1を壊す成分が含まれていますが、いずれも火をとおせば大丈夫です。

こう見てくると、ビタミンB1を食品からとるのは、なかなかコツがいることがわかります。しかも、B1は体の中に貯めておけないので、毎日、必要量をとらなければなりません。結局、毎日、必要なビタミンB1の量を満たすには、主食である米から効率よくとる工夫が必要になります。その具体策として、あらかじめといで水を張った精白米に、洗米していない強化米をパラパラと上から混ぜる方法がおすすめです。

9.光に弱いビタミンB2は、脂肪の代謝と細胞呼吸にかかわっています

ビタミンB物質の研究中に、熱を加えても分解しない耐熱性のある物質が発見されました。これがビタミンB2、化学名リボフラビンです。結晶状態では緑色の蛍光を出す黄橙色の水溶性ビタミンです。

不足するとラットの成長が止まるため、発見された当初はgrowth(成長)の頭文字をとって、ビタミンGと呼ばれていました。ビタミンB2は、熱や酸には強いのですがアルカリには弱く、また、光に当たると酸化してしまい、効きめがなくなるという性質を持っています。ちなみにB2がたくさん含まれている食品のひとつである牛乳を、透明なプラスチックの容器に入れて放置しておくと、B2の量が半分に減ってしまうほどです。

次に、その働きです。ビタミンB2は、糖質、脂質、タンパク質の代謝の仲立ちをする酵素を助ける働きをします。特に脂質の代謝に関わっています。ところで、人間の細胞は、酸化還元反応といって、呼吸をしています。酸素を吸って炭酸ガスを吐き出しているわけです。B2は、この細胞呼吸にも欠かせません。また、細胞が毎日生まれ変わるときにも必要といわれています。言い換えれば、B2は皮膚や粘膜を保護するビタミンでもあり、皮膚や爪、毛の発育や健康の維持に関わっています。このため、B2皮膚のビタミンとも呼ばれます。この他、肝臓の働きを強めたり、体の中に入った毒物を解毒する働きもあります。

10.ビタミンB2が不足すると、こんな症状が出ます

ビタミンB2が不足がちになると、細胞の呼吸がうまくいかず、皮膚や粘膜に炎症が起きます。

具体的は、まずニキビなどの皮膚炎が身近な欠乏症として挙げられます。また、口や唇の病気を起こします。唇が荒れたり、赤くむけたり、口角炎(口の端が切れる)になったりしますし、舌が荒れたり、口内炎で口の中がヒリヒリしたりします。さらに、肛門や膣に炎症を起こし、かゆくなったり、ただれたり、痛んだりします。目も同様で、ゴロゴロしたり、チカチカしたり、目やにが出たり、黒目の周りが充血したりします。

これらの症状と関連しますが、いろいろな湿疹や皮膚炎がある人では、血液の中のビタミンB2が減っていることもわかっています。なお、このビタミンB2は、この後お話するB6とともに、最近その重要性が叫ばれるようになっています。それというのも、私たち日本人の食生活の傾向が、近ごろ大きく変化したため。ご飯を中心とした糖質の摂取量が減り、代わりに脂肪やタンパク質の量が増えてきたのです。そこで、脂肪の代謝に必要なB2と、タンパク質の代謝に必要なB6をたくさんとる必要が高まってきたというわけです。

11.こんな人、こんな場合はビタミンB2不足に注意!

ビタミンB2は、病気中や、その後に不足しがちです。熱が出るとエネルギーを消費すると同時に、ビタミン類をも消費します。そのうえ食欲が落ちて、とるべきビタミンが減っていることから不足がちになるわけです。

また、病気の治療で抗生物質を飲んでいたり、経口避妊薬や向精神薬(精神病の治療薬)をいつも使っている場合にも、B2の不足が起こることがあります。ふだんの生活では、下痢や便秘など腸の具合がよくないときに不足します。これは、腸内に棲む細菌とビタミンB群の吸収とが関係あるためです。もちろん、食事がかたよりがちな人も注意する必要がありますが、特に脂肪分の多い食べ物をよくとる人は、B2が必要です。

ダイエット中の人は、意識してビタミンB2をとる必要があります(所要量の3)。食事の量が減っているため、たいていビタミンの摂取も減っているうえ、体の中の脂肪を燃やすために、ふだん以上にB2が必要になるからです。その他、徹夜や夜更かしをして睡眠不足のとき、酒を飲んだときにも、B2は欠かせません。アルコールをとると脂肪の代謝が悪くなるので、B2を補う必要があるのです。

12.ビタミンB2の所要量と多く含まれている食品

ビタミンB21日の所要量は、大人の男性で1.4mg、同じく女性で1.2mgです。水溶性のため多めにとっても多過ぎた分はすぐに尿の中に出てしまうので、毎日コンスタントにとる必要があります。

ビタミンB2が多く含まれている代表的な食品として、上に示したようなものがあります。肉や乳製品摂取が欧米ほどではない日本人には、B2は不足しやすいビタミンといえます。

しかも、たとえば1.2mgをとるには、牛レバーなら40g、プロセスチーズでは320(1箱半)、納豆では210(100g入り2パック)、魚肉ソーセージなら200g、ホウレン草ではなんと520gも食べなければならないのです。これらを毎日食べるのは並大抵なことではありません。こうしてみると、B2はかなりとりにくいビタミンであることがわかります。

13.とりにくいビタミンB2をじょうずにとるコツ

日常の食生活でB2をとるのにいちばん有利なのはレバーです。しかし、その匂いのせいで嫌いな人が多いのも確か。となると、じょうずにB2をとるには、比較的B2を含んでいる食品をバランスよく食べるしか手はありません。

卵、納豆、いわし、さば、さんま、しいたけ、緑黄色野菜など身近な食品を、毎日欠かさず食卓にのせるようにするのです。これらの食品の保存や調理にも注意が必要です。B2は光に弱いので、緑黄色野菜を保存するときは必ず暗い所に。またB2は水に溶ける性質があるので、細かく切ってから水で洗うと減ってしまいます。さらに、長く煮ると、煮汁に溶けだしてしまうので、煮含めたり、煮汁も食べるようにすることもポイントです。

14.ビタミンB6は、タンパク質の代謝にかかわっています

ビタミンB6は、カ学名ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミン、の3種と、それぞれのリ酸エステルを含む計6種類の物質のことをさします。メインになるのはピリドキサシンです。

植物と微生物はB6を生合成することができますが、動物は合成できません。しかし、腸内細菌が作り出したものを一部利用しています。性質は、熱や酸、アルカリには強いのですが、光には弱く、光に当たると分解してしまいます。

また、ほかのB群と同様、水溶性で、多くとっても尿の中に出てしまいます。ビタミンB6は私たちの体を作っているアミノ酸(蛋白質)などの代謝に関係している酵素の働きを助ける重要な物質で、脂肪の代謝にもかかわりを持っています。細胞の新陳代謝を促すことから、発育促進、各組織の修復作用、生機能の活発化、性欲増進などの働きがあります。

また、抗生物質や経口避妊薬に対する解毒作用を持っています。さらに月経に影響を与えたり、妊娠中のつわりを軽くする働きを持っています。

その他、B6は、アレルギー性の病気(ジンマシン、アトピー性皮膚炎など)を防ぐ働きもあります。B6は、ビタミンB群の中ではB12とならんで、近年重要性が増しているビタミンです。

15.ビタミンB6が不足すると、こんな症状が出ます

ビタミンB6は、タンパク質と脂肪の代謝に必要な栄養素であるため、肉を多食する欧米人に不足しがちとされる一方、日本ではめったに不足しないといわれてきました。ところが、近ごろの日本では欠乏する人が多くなっているのでは、と考えられています。これは、食生活が洋風化したためです。また、ある種の結核薬を飲んでいる人は欠乏症になる可能性があります。

B6が欠乏すると、肌荒れや鼻・口・眼の周りに皮膚炎(脂漏性皮膚炎)を起こしたり、ニキビや吹き出物ができやすくなります。また、頭皮から脂っぽいフケがたくさん出るようになります。歯のホウロウ質はケラチンという硬い物でできていますが、このケラチンもタンパク質からつくられているため、B6が不足するともろくなり、虫歯にかかりやすくなります。貧血も起こしやすくなります。なお、ナイアシンの欠乏症といっしょに起こることが多いといわれています。

16.ビタミンB61日の所要量と、多く含まれている食品

前項でもふれたように、ビタミンB6は、めったに欠乏症を起こさないといわれるため、日本では1日の所要量が決められていません。ただ、アメリカで決められた所要量によると、性差、年齢差、それに妊婦か授乳婦かによる多少の量の違いはあるにしても、19才以上の所要量は、1.62.2mgとなっています。

なおB6は、水溶性であるB群ビタミンとしては珍しく過剰症があります。臨床実験による過剰の目安量は、1100mg以上といわれ、症状として手足の感覚がなくなるといった末梢神経障害を起こします。ビタミンB6が多く含まれている代表的な食品としては牛のレバー、クルミ、にら、イワシ、じゃがいも、鮭などがあります。

17.赤いビタミンと騒がれたビタミンB12

13種類あるビタミンの中でも、ビタミン研究史上、正式に認知された最後のビタミンがビタミンB12です。肝臓エキスに含まれ貧血に効果のある物質として、かなり古くから知られていました。1948年に肝臓から赤色結晶が分離されてB12と名付けられました。化学名をコバラミンといいます。水溶性で、熱や酸、アルカリ、光などによって分解されやすいという性質を持っています。

B12には、他のビタミンと異なる次のようなきわだった特徴があります。構造がきわめて複雑な化合物で、分子中に金属のコバルトを含んでいます。そのため実にきれいな赤色で、発見当時赤いビタミンと騒がれました。細菌や一部の微生物によってしか作られず、植物にはまったく存在しません。そのため、菜食主義者は欠乏しやすいといわれます。

ビタミンは本来、微量で効果を現しますが、B12はそれが特に著しく、所要量などに使われる単位もミリグラムの千分の一のマイクログラム(μg)です。ビタミンB12は、葉酸とともに細胞分裂に必要な核酸をつくる物質です。細胞の新陳代謝を盛んにし、特に血液中の赤血球をつくるときに重要な働きをしています。ビタミンB12が不足すると、忘れっぽくなるなどボケの症状が出たり、神経が不安定になって不眠症になったりします。

極端に不足すると「巨赤芽球性貧血」という悪性貧血を起こします。これは、赤血球が普通より大きくなり、色は濃いのですが全体としては数も少なく、働きも正常な赤血球とくらべるとかなり低いのです。当然、赤血球のおもな働きで得ある酸素の運搬がうまくいかず、貧血になってしまうのです。

18.ビタミンB12の所要量と多く含まれている食品

ビタミンB121日の所要量は約2.03.0μg(マイクログラム)といわれています。多く含まれている代表的な食品としては、カキ、しじみ、イワシ、サバ、はまぐり、牛乳などがあります。所要量3.0μgをとるには、しじみなら13g、かきでは18g、豚レバーなら15gを食べる必要があります。

植物性の食品には含まれていないビタミンなので、ダイエット中で、サラダばかり食べている人は欠乏症になりかねません。むしろ新陳代謝を促進してダイエット効果を高めるために、B12を所要量の3倍はとりたいものです。

また、B12は胃の粘膜から分泌される物質と結びついて吸収されるので、胃の悪い人や胃の手術をした人は、意識して積極的にとるようにしないと貧血になりかねません。なお、B12は、葉酸やビタミンCといっしょにとると、その効果が増します。

19.ナイアシンはこんなビタミンです

どのようなビタミンか? ナイアシンには、体の中で同じ酸化還元反応をつかさどるニコチン酸とニコチン酸アミドの2種類があります。いずれも、熱、酸、アルカリに強く、ふつうの調理法では分解されることはありません。他のB群ビタミンと同様に水溶性です。動物、植物ともに広く含まれ、人間も必須アミノ酸のトリプトファン代謝の副産物として体内で一部合成していますが、所要量を満たすほどではありません。

ナイアシンの働き

まず体のさまざまな組織の機能を正常に保ちます。

三大栄養素の代謝に関係し、特に糖質の代謝を促進するエネルギーを確保します。また、皮膚の発育、消化器系の働きに関わっています。さらに、解毒作用や老化防止作用も持っています。

ナイアシンの欠乏症と所要量

このような働きを持つことから、不足すると、肉体疲労はもちろん、口角炎や口内炎、舌が荒れるなどの皮膚粘膜障害を起こしたり、食欲不振、消化不良、下痢などの胃腸障害を引き起こします。

重くなると、ペラグラにかかります。これは、手足など特に日光に当たる皮膚が日焼けに敏感になるとともに、神経障害や消化器障害を起こす病気です。1日の所要量は、大人の男性で17mg、同じく女性で1314mgといわれています。ナイアシンは、肉類、魚介類、豆類ような食品にたくさん含まれています。

20.自然界に広く分布するビタミン、パントテン酸

パントテン酸は、自然界の動物や植物に広く分布しています。ただし自前で合成できるのは植物と微生物で、動物は食物から摂取するしかありません。

水溶性で、酸、アルカリに分解されやすいという性質を持っています。その働きは、「補酵素の構成成分となって、フラピン酵素とともに細胞内の酸化還元に関係する」というものですが、早い話、3大栄養素のすべての代謝に重要な働きをするということです。

1日の所要量は大人で約10mg。欠乏すると、頭痛や皮膚炎を起こすといわれますが、病気でない限り、ふつうの食生活をしている以上、不足したり、欠乏したりすることはまずないといわれています。

21.発育を促進する働きを持つ葉酸

フォラシンという別名を持っている葉酸は、化学名プロテイルグルタミン酸という物質で、植物に広く存在しています。微生物も合成できますが、動物は合成できません。

葉酸は以前は、ビタミンBcとも呼ばれたことがあります。右下についた小さなCは、ヒヨコに由来します。ヒヨコの成長にとって重要な働きをすることから付けられたのです。この旧名からもわかるように、発育を促進する働きを持っています。また、貧血を防いだり、胃の粘膜の働きを正常にしたり、ビタミンAの吸収を促すなどの作用もあります。アメリカで決められた1日の所要量は、大人で約0.4mg。欠乏すると、貧血、下痢、舌炎を起こすといわれます。


22.所要量を腸内細菌がつくってくれるビオチン

ビオチンは、かつてはビタミンHと命名されていましたが、研究が進み、その働きが解明された結果、ビタミンB群にトレードされました。植物と微生物はみずから合成できます。熱には強いのですが、酸やアルカリには弱いという性質を持っています。働きは、に関わっています。

人間の場合は、腸内細菌が作り出すことができ、しかもその作り出す量で十分に所要量をまかなえることが多いといわれています。ただ、卵の白身の中のアビジンというタンパク質と結合すると、ビオチンは吸収されなくなるので、生卵を常食する場合には、欠乏が心配になります。欠乏症として、筋肉痛、脱毛、疲労感などが起きるといわれています。

4 美容だけでなく、さまざまな働きで注目を集めるビタミンC

美容ビタミンとか美多ミンC”といわれるように、シミやソバカスを予防したり、日焼けで傷んだ肌を回復させることで最もよく知られているビタミンが、ビタミンCです。

最近では、カゼやガンの予防や治療に効果があるといわれ、ますます注目されています。

1.人間は進化の過程で、ビタミンCを体内で合成することができなくなりました

2.ビタミンCのさまざまな働き  -生理作用を中心として-

3.ガン予防で注目を集めるビタミンC

4.Cが不足すると美容と健康に赤信号

5.ビタミンC1日の所要量は50mgです

6.ビタミンCを多く含む食品は?

7.Cは失われやすく、壊されやすいビタミン

1.人間は進化の過程で、ビタミンCの体内合成ができなくなりました

ビタミンCとは、アスコルビン酸という化合物のことです。

水溶性で、強い還元性を持ち、溶液は酸性を示します。酸性のままでは安定していますが、中性からアルカリ性の状態では非常に分解されやすく、熱や光にも弱いという性質を持っています。

ところで、昆虫や魚類を除く多くの動植物は、体内でビタミンCを合成することができます。しかし、哺乳類の中でCを合成出来ない動物があります。そのひとつが人間です。アスコルビン酸はブドウ糖からいくつかの物質を経て作られますが、人間は最終段階の反応に使われる酵素を遺伝的に欠いているのです。特に人間の祖先は、約25000年前に、この酵素を失ってしまったといわれています。その結果、人間は、生きるうえで欠かすことのできないビタミンCを、食物として、外部からとらざるをえないのです。

2.ビタミンCのさまざまな働き  -生理作用を中心として-

ここではビタミンCの生理作用についてお話しします。ただ、生理作用と薬理作用の区別は、一部が重なり合っていたりして、はっきり区別できないことをお断りしておきます。

還元作用により鉄の吸収をよくします!

Cの還元作用により、食品の中に含まれる鉄分で人体には吸収されない形のものを、吸収されやすい形に変えることができます。

メラニン色素の沈着を抑えます!

メラニン色素(シミやソバカスの元になる色素)が皮膚に沈着するのを防いでくれます。

抗酸化作用により成人病を予防します!

Cの抗酸化作用は、体の中で重要な働きをすると考えられています。体の中で過酸化脂質が多量に生じると、動脈硬化や脳卒中、心筋梗塞などの原因になるといわれています。Cはこの過酸化脂質が生じるのを抑え、成人病を予防できるのではと注目されています。

強くてしなやかなコラーゲンを作ります!

コラーゲンとは、タンパク質の一種で、人間の体のタンパク質の3分の1をも占めています。骨の強化に役立ち、細胞と細胞をつなぎ合わせ、しっかりと固める接着剤の働きをしています。Cは、このコラーゲンに含まれるハイドロキシプローリンというアミノ酸を作るのに必要なのです。

コラーゲンは、傷の回復や止血に重要な働きをします。また、皮膚のハリの衰えを防いだり、細胞を強化してウイルスの広がりを妨げる働きもします。

抗ストレス作用があります!

ストレスとは、外部からの刺激に対して生体が反応し、何らかのゆがみを生じた状態をさします。

ふつうストレスというと、精神的、神経的な緊張という意味で使われることが多いのですが、実は物理的刺激、たとえば騒音、けが、やけど、手術などをも含むわけです。

さて、このストレスが大きくなると、人間の体は一般にホルモンの分泌量をふやすことで対処します。特に副腎皮質ホルモンの分泌がふえます。ビタミンCは、この副腎皮質ホルモンを作り出すのに重要な役割を果たしているのです。事実、副腎にはCが多く存在し、ストレスを受けて副腎皮質ホルモンの分泌が高まると、Cが急激に消費されてしまいます。

免疫力を強くします!

ビタミンCは、私たちの体の免疫の仕組みに深く関わっており、ウイルスや細菌の感染に対する抵抗力を強めてくれます。また、白血球やリンパ球の機能を高めてくれるといわれています。事実、一般に、病人は白血球のビタミンC含有率が低く、免疫力が低下しています。

インターフェロンが作られるのを促進します!

インターフェロンとは、ウイルスを抑える働きをするタンパク質です。ビタミンCによって、白血球に含まれるインターフェロンの、ウイルスに対して働く抵抗力が強まります。

抗ヒスタミン作用!

細胞の中にはヒスタミンという物質があります。アレルギーの諸症状は、このヒスタミンが遊離することによって起こりますが、ビタミンCはこの反応を抑える物質を増やします。

生体異物を解毒します!

毒物や薬物の中毒のときには、ビタミンCの必要量が増します。脂溶性の毒物や薬物は、肝臓の中のミクロソームという水酸化酵素によって解毒されますが、この酵素の活性がビタミンCによって増強されるのです。

3.ガン予防で注目を集めるビタミンC

ビタミンCにはガン予防の効果があるのでは、といま注目を集めています。ただし、人間のガンにどの程の予防効果があるかについては、いまのところデータが十分ではありません。また、治療効果は疑問視さていますが、末期患者の延命とか、苦痛を和らげる効果については、臨床医による少数の報告があるようです。なぜガンに効くかについては、主に次の二つの作用によるのでは、と考えられています。

発ガン物質ニトロソアミンを抑えます

トロソアミンとは、食肉製品の発色剤などに使われる亜硝酸ナトリウムと、アミンから生じる発ガン物質です。

自然界には硝酸を含む食品が多く、それらが胃や腸で変化してニトロソアミンになることもあります。

このニトロソアミンにビタミンCを加えると、その量が少なくなるという試験管内の実験は数多くあります。また、マウスを使った実験で、餌にアミンを入れ、飲料水に亜硝酸ナトリウムを溶かして与えると、肺に腫瘍ができるのですが、Cを与えると腫瘍のでき方が少なくなるというデータもあります。

抗酸化作用が発ガンを抑えます

実は、人間の体を形作る細胞のすべてにガン遺伝子があり、ふだんはほとんど眠った状態でいます。これを目覚めさせ、ガン遺伝子として働かせるのが発ガンイニシエーター(起因物質のこと。化学物質、紫外線、ウイルスなど)です。目覚めたガン遺伝子を持つ細胞の細胞膜に変化が起きると、細胞は分裂を始め、初めてガン細胞が完成、誕生するわけです。

発ガンイニシエーターが細胞遺伝子に作用するときの反応は、酸化反応です。ここでビタミンCはその抗酸化作用によって、発ガンイニシエーターが遺伝子に結合する反応を抑えるのではと考えられるのです。

4.Cが不足すると美容と健康に赤信号

ビタミンCが不足すると、次のようなさまざまな症状があらわれます。

歯ぐきから出血したり、あざができやすいビタミンCの病的な欠乏症は、壊血病です。これは、Cの不足によりコラーゲンの働きが弱いため、毛細血管の内側の壁が簡単にはがれて薄くなり、やがて血管がやぶれて血が出やすくなる病気です。

イギリスがインドを領有していたかつての大航海時代、長い航海をする船では生野菜がなくなりビタミンCが不足して、多くの船乗りたちが壊血病で出血して倒れ、死ぬ人も出ました。このエピソードのようなことは、近ごろではまずありません。しかし、その手前の軽い症状は現在でも珍しくないのです。歯肉の組織の結合力が弱り、歯ぐきから出血したり、歯がぐらついたりします。鼻血が出たり、口の中や肛門の粘膜から出血しやすくなったりもします。

又、ぶつかった覚えもないのに、あるいはちょっとした打ち身で内出血を起こし、手足の皮膚にあざ(紫色の斑点)が出ます(紫斑病)ほかにも以下のような症状があります。肌につやがなくり、しみや小じわがふえたり、肌あれを起こしやすくなります。貧血を起こします。食物の鉄分を十分に吸収できなくなるため、貧血が起きやすくなる。ストレスがたまりやすくなります。精神的に不安定で、イライラしたり、怒りっぽくなる。頭痛、肩こり、筋肉痛などを起こしやすい。ビタミンC不足による血行不順から起こります。カゼなどにかかりやすくなる。

5.ビタミンC1日の所要量は50mgです

ビタミンC1日の所要量は大人で50mgとされています。これを満たしていれば、壊血病を始めとした欠乏症にはなりません。

ところで、カゼやガンなどに効くという薬理作用を期待するには、グラム単位でとる必要があります。これだけの量をふつうの食品からとるのは、まず不可能です。たとえば、レモンで1gのビタミンCをとるとすれば、10個を丸ごと食べなくてはならないのですから。つまり、薬理効果のためには、ビタミンC剤を利用することになります。

なお、ビタミンC剤による大量摂取は別として、日常の食生活でとったよぶんなビタミンCは、尿とともに体の外へ出ていってしまうため、過剰症は起きないといわれています。

6.ビタミンCを多く含む食品は?

よく知られているように、ビタミンCは、ほとんど野菜や果物に含まれています。それでは、毎日生野菜をたっぷり食べていれば、ビタミンCを十分とっていることになるのでしょうか。たとえばレタス。中くらいのもの1個をまるまる食べたとしても、ビタミンC18mgしかとれません。1日の所要量をとろうとすると、3個も食べなくてはいけない計算になります。やはり、できるだけビタミンCの多い野菜の種類を選ぶことが大事です。また特に注意したいのは、ハウス物の野菜。露地ものに比べて、どうしてもビタミンCの量が少なくなります。たとえば秋口に店先に並ぶ青白いトマトには、100gの中に4mgしか含まれていなかったという調査結果もあります。

7.Cは失われやすく、壊されやすいビタミン

調理によるビタミンCの平均的な損失率の大体の目安は50%といわれ、最も損なわれやすいビタミンです。

まず食品の保存中に失われます。たとえばさつまいもの場合、10月下旬に収穫して地下の穴蔵に貯蔵したものを1カ月ごとに測定したCの量は、45月ころになると半分以下になります。夏場の室温程度では、15日間で約50%も減少してしまいます。そこで野菜などの買い置きは控え、とにかく新鮮なうちに食べることが大切。しばらく置くにしても室温ではビタミンCが蒸発してしまうので、即冷蔵庫に入れる必要があります。

また、ビタミンCは水にどんどん流れてしまうので、野菜やくだものを洗うときは手早くすませることがポイント。当然、野菜の煮汁やいため汁にも多く溶け出すので、汁をも含めてできるだけすべて食べるようにしたほうが無駄がありません。ただし、あたため直しは避けます。煮汁の中に酸素が溶け込み、酸化され壊れやすくなっているビタミンCは、温め直しでほとんど壊れてしまうからです。

いまお話ししたように、ビタミンCは酸化されやすいのも特徴です。加熱による損失より、酸化のほうが問題という研究者もいるほどです。空気の触れやすいミキサーやジューサーでの調理は避けます。さらに、きゅうり、かぼちゃ、にんじんには、アスコルビナーゼというビタミンCを壊す酵素が含まれています。しかし、この酵素は熱には弱いので、加熱して酵素を抑えてから食べるようにします。生食するときは、酢かレモンをかけて食べるとよいといわれています。

なお、これまでビタミンCは熱に弱いといわれてきましたが、それほどでもなく、比較的安定していることがわかっています。ただし、調理は煮るより、油炒めのほうがおすすめです。油でさっと炒めたほうが、ビタミンCの損失率が少ないことがわかっています。

第5章            脂溶性という共通点はあってもそれぞれ独自の働きをする
ビタミン
DEK

この章では、日に当たらないと骨が曲がるなどといわれているビタミンD若返りのビタミンとして最近注目を集めているビタミンE、それに馴染みが薄いわりには重要な止血の働きをするビタミンKについてお話します。中でもビタミンEは、発見されてから60年にもなりますが、未知数の部分が最も多いビタミンのひとつです。

1.ビタミンDは、人間の体内で作り出せます

2.ビタミンDは、骨の発育を正常にします

3.ビタミンDが不足すると不定愁訴的な症状があらわれます

4.ビタミンDの一日の所要量と過剰症

5.ビタミンDが多く含まれている食品

6.ビタミンE8種類あり、効き目がいちばん高いのはα-トコフェロールです

7.ビタミンEは老化を防ぎ、血のめぐりをよくしてくれます

8.ビタミンEはガンを防ぐ働きがあるといわれています

9.ビタミンEはコレステロールを減らし成人病を防ぐ働きがあるといわれています

10.ビタミンEは一日にどのくらいの量をとる必要があるのでしょうか

11.ビタミンEが多く含まれている食品とじょうずにとる調理のコツ

12.なじみが薄いわりには重要なビタミンK

13.血を固まらせる働きをするビタミンK

14.ビタミンK欠乏症はめったに起きませんが、こんな症状は不足気味の疑いが……

15.ビタミンKの所要量と豊富に含んでいる食品

1.ビタミンDは、人間の体内で作り出せます

ビタミンDは当初、D1からD7まで7種類ありました。最初に発見されたD1は、その後の研究でD2と別の物質の混合物であることがわかって欠番になり、現在はD2からD7まで6種類あります。

いずれも生理作用が同じなので、Dと総称しています。このうち、D4からD7は天然に存在する量が少なく、またビタミンDとしての働きも弱いためにあまり重要視されていません。

そこでビタミンDといえば一般にD2D3を指すことになっています。D2は化学名がエルゴカルシフェロール、D3は同じくコレカルシフェロールという物質で、いずれも水には溶けず、有機溶剤にはよく溶けます。これを脂溶性が高いといいます。化学的には非常に安定しており、食品の加熱、加工、貯蔵などで分解することはありません。D2は植物に、D3は動物に含まれています。

人間の場合は、D2D3ともに生理作用は同じです。そこで、医薬品には、より合成しやすいD2が主に利用されています。よく知られているようにビタミンDは、日光の恩恵によって人間の体の中で作り出せる唯一のビタミンです。

皮膚の表皮にある7-デヒドロコレステロール(プロビタミンD3)という物質が日光の中の紫外線に当たるとDになり、さらにビタミンD結合タンパク質と結合して体内に吸収され、肝臓や腎臓で活性型に変わって、さまざまな生理作用を行うわけです。このような生合成で人間が作り出すDの量は、必要量のおよそ50%といわれます。もっとも、日射量の少ない地域では、この皮膚でのD生成ができないため、もっぱら食品からとるしかありません。

2.ビタミンDは骨の発育を正常にします

ビタミンDは、骨や歯の成長に欠かせないビタミンとしてよく知られています。

ビタミンDは、骨から血液の中へのカルシウムの移動をスムーズに行い、血液の中のカルシウムの量を一定に保つ働きをしています。血液の中のカルシウム濃度が高まると、骨からカルシウムが溶け出すのを防ぐ物質が分泌され、骨を丈夫に守ります。また、血液中のカルシウムとリンを腸から取り入れる腸内吸収を促し、同時にリン酸を動員して、カルシウムと結合させ骨に付着させて丈夫にするという働きもあります。この働きがホルモンによく似ているため、ビタミンではなくホルモンだ、という学者もいるくらいです。

3.ビタミンDが不足すると不定愁訴的な症状が現れます

ビタミンD欠乏症といえば、すぐ思い浮かぶほど、子どものくる病は知られています。これは、新しく作られる骨や成長する軟骨へのカルシウムの沈着が妨げられて、骨がやわらかくなってしまう病気です。おとなの場合は骨軟化症を起こします。これらの欠乏症は、日射量の少ない都会生活者に多いなどといわれますが、よほどのことがないかぎり、骨に異常を起こすことはありません。むしろ欠乏症としては次のような不定愁訴があらわれます。

◎全身倦怠感(体がだるく疲れやすい) ◎貧血 ◎不眠 ◎食欲減退 ◎ 肩こり・腰痛 ◎抜け毛 ◎足がつったり、筋肉がけいれんを起こす ◎唇や鼻が乾いたり、のどの渇きをおぼえる

4.ビタミンD1日の所要量と過剰症

ビタミンD1日の成人所要量は100IUとされていますが、すでにお話ししたように日光に当たると必要量の50%が作られます。

ビタミンDが特に欠かせないのは発育ざかりの子どもで、1日に大人の4(400IU)の量が必要です。また、妊婦も胎児の骨の発育のために欠かせません。

ビタミンDは脂溶性のビタミンであるため、過剰症を起こす可能性があります。臨床実験による過剰の目安量は、1日に10IU12か月とりつづけることといわれています。症状としては、脱力感や食欲不振、下痢、便秘、嘔吐、頭痛、軟骨の成長停止、血清コレステロールの増加などが挙げられます。

5.ビタミンDが多く含まれている食品

ビタミンDは、卵、特に卵黄やしらす干し、イワシ、サンマ、マグロなどの食品に多く含まれています。よく干ししいたけに多く含まれているといわれますが、しいたけそのものにはビタミンDはありません。しいたけには、プロビタミンD2(エルゴステロール)の形で含まれており、それが日光の紫外線を受けてビタミンDに変性していくわけです。つまり、生のしいたけを日の光に当てて乾燥するからこそ、干ししいたけにビタミンDが含まれているわけです。ただ、現在の干ししいたけの多くは、電気乾燥のため、ビタミンDは含まれていないといわれていました。しかし、ごく最近の研究によると、新しい分析方法では電気乾燥の干ししいたけにもかなりのDが含まれることがわかっています。

6.ビタミンE8種類あり、効きめがいちばん高いのはα-トコフェロールです

ビタミンEの化学名であるトコフェロールは、ギリシア語のトコス(子どもを産む)+フェロ(力を与える)から来ています。これは発見の過程で、不足するとネズミが流産したり、不妊になる因子として見つかったため。ビタミンEの効果を持つ物質は、天然にはトコフェロールとトコトリエノールがそれぞれαβγδ(アルファ、ベータ、ガンマ、デルタ)4種類ずつ、都合8種類あります。

最も生理的に効きめの優れたα-トコフェロールには多少構造が違う合成品があります。効きめは天然のものを1とすると合成品で0.7ぐらいです。同じ天然でもα以外のトコフェロールの効きめは、0.010.5と低く、トコトリエノールについては、現在のところ満足なデータがありません。脂溶性のビタミンであるビタミンEは、ねばりのある淡黄色の油で、植物が合成します。紫外線に弱く、ビタミンCと同様に抗酸化作用を持ち、空気にさらしておくと酸化されやすい性質を持っています。

7.ビタミンEは老化を防ぎ、血のめぐりをよくしてくれます

ビタミンEの働きでまず第一に挙げなければならないのは、抗酸化作用です。細胞がサビる(酸化)のを防いでくれるのです。細胞はタンパク質や不飽和脂肪酸などからできていますが、これらはとても酸化されやすく、特に不飽和脂肪酸は酸化されると過酸化脂質と呼ばれる有害な物質に変わってしまいます。この過酸化脂質はタンパク質と結びついてリポフスチン(しみと同じ褐色の老化色素)となり、体中いたるところの細胞の中にたまってきます。特に血管の内側に付着していくと、血管をつまらせ動脈硬化や成人病の原因になります。つまり、このリポフスチンこそが、いわば人体のサビで、Eの抗酸化作用がサビ止めの働きをするわけです。

ビタミンEは末梢血管を広げる働きもあります。血のめぐりをよくし、栄養を体のすみずみまでいきとどかせてくれるわけです。冷え症予防や肩こり予防、さらにはハゲ・白髪を防ぐ効果があるといわれているのも、この働きに由来しています。臨床的にも、末梢血管障害の緩和や更年期症状の緩和に効きめがあることが立証されています。

また、女性ホルモンのバランスを整えて生理不順を予防し、生殖機能を正常に保つ働きもあるといわれています。以上のような働きから、ビタミンEは老化防止の働きがあるといわれるのですが、どの程度有効かはまだわかっていません。

8.ビタミンEはガンを防ぐ働きがあるといわれています

ビタミンEには、ガンの予防効果があるといわれていますが、人間の発ガン予防に有効であるかどうかについては、まだデータが不足しています。また治療効果は確認されていません。

ただ、大きな期待が持たれていることは確かです。その理由はEの次のような働きによるものです。

ニトロソアミンが生じるのを防ぐ作用

いくつかの実験から、ビタミンECと同じように、アミンと亜硝酸塩が反応してできる発ガン物質ニトロソアミンが生じるのを抑える働きがあることがわかっています。

抗酸化作用

発ガンイニシエーターが細胞の遺伝子に作用するときは酸化反応が必要ですが、ECとともに、その抗酸化作用により発ガンイニシエーターが遺伝子に結合する反応を抑えると考えられます。

9.ビタミンEはコレステロールを減らし成人病を防ぐ働きがあるといわれます

ビタミンEには、成人病を防ぐ働きがあるといわれます。それは次の理由によります。

善玉コレステロールを増やす働き

コレステロールには、動物性脂肪から作られる悪玉ともいうべきLDLと、血液中で増えればむしろLDLを減らす善玉のHDLという2つのタイプがあります。

ビタミンEには、血液を始めとして肝臓などに含まれる脂肪の代謝を改善する働きがあり、これにより、善玉のHDLは増加すると同時に、悪玉のLDは減少し、また、コレステロールの総量は、全般的に低下してくるといわれます。

脳卒中や心筋梗塞を防ぐ働き

脳卒中や心筋梗塞の発作直後には、血液の中のビタミンEが急速に消えていくことが知られています。その原因は、過酸化脂質が急激に増えるからです。また、脳卒中が多く発生する地域では、住民の血液中のEの濃度が正常値を下回っている人が多いといわれます。

10.ビタミンE1日にどのくらいの量をとる必要があるのでしょうか

ビタミンEが不足したエサで飼育されたネズミでは、オスの精子形成不良、メスの不妊症や、筋肉、細胞の老化度が著しいことが確認されています。

しかし、人間ではビタミンEの欠乏症は確認されていません。ビタミンEの欠乏症が確認されていないこともあって、その所要量は日本ではまだ決められていません。しかし、アメリカで決められた所要量によると、1日当たりα-トコフェロールの量で、おとなの男性では10mg、おとなの女性は8mgとなっています。これに対し、日本でも多くの研究者によって所要量算出に必要な研が続けられています。それらの研究を踏まえ、1989年「第4次改訂日本人の栄養所要量」の目標摂取量が発表されました。それによると、1日当たりα-トコフェロールの量で、大人の男性では8mg、同じく女性では7mgとされています。

11.ビタミンEが多く含まれている食品とじょうずにとる調理のコツ

ビタミンEを多く含む代表的な食品には、まぐろ(赤身よりトロの方が倍近く多い)、たらこ、大豆、うなぎの蒲焼き、植物油(特に綿実油が多い、またごま油は少なく、大豆油はごま油の56倍あるが、綿実油の約半分などがあります。

ビタミンEで有利なのは、熱や酸に強く壊れにくい点です。調理が自由にできるのです。また、脂溶性ビタミンのため油によく溶けるので、油で調理すると体に吸収されやすくなります。ただし、古い油にはビタミンEの大敵である過酸化脂質がたまっていることが多いため、調理には使わないこと。また、ビタミンEは紫外線によって破壊されるので、油や食品を日光に当てない注意も必要です。なお、ビタミンEは、アルカリにも弱いことを付け加えておきましょう。

12.なじみが薄いわりには重要な働きをするビタミンK

ビタミンKの「K」が、ドイツ語の凝固という単語(Koagulation)の頭文字をとって付けられたことからもわかるように、血液の凝固に欠かせないビタミンです。重要なビタミンであるわりには、一般にはあまり知られていません。それは、薬理作用の適切な利用法がむずかしく、「要指示薬」として医師の処方がないと買えないからです。

ビタミンKの働きを持つ物質は、化学的に合成されたものを含めるとK1K7までありますが、天然にはK1(フィロキノン)K2(メナキノン)2つしかありません。合成品の中ではK3(メナジオン)が生理的な効きめが高いといわれています。いずれも脂溶性で、加熱、酸化には強いのですが、アルカリや紫外線には弱いという性質を持っています。

ビタミンK1は主に植物の葉緑体で作られる黄色のねばりのある物質で、天然には1種類しかありません。これに対しビタミンK2は微生物が合成し、常温では黄色の固体で、納豆などの醗酵食品に多く含まれ、少しずつ構造や生理的な効きめが違う仲間がたくさんあります。

人間では腸内細菌がこのビタミンK2の一部を生み出しており、ビタミンK1も多くの食品に含まれているため、めったなことでは不足しません。ただし、ビタミンK拮抗物質である、ある種の抗生物質を使い続けている人や、腸内細菌叢が発達していない乳児などでは不足することがあります。

また、ホルモン剤にも弱く、妊娠中にホルモン剤を飲むと、生まれた赤ちゃんの1000人に1人か1500人に1人は、ビタミンK不足による頭蓋内血を起こし、死んでしまうこともあります。

13.血を固まらせる働きをするビタミンK

前項でも触れたように、ビタミンKには血液を凝固させる働きがあります。より詳しく言うと、血液の凝固に必要なプロトロンビンという物質が肝臓で作られるときに必要なビタミンです。

血液はいったん外にもれると、血液中に含まれる13種類の物質が次々と連鎖反応を起こして血を固めていきます。ところがビタミンKが不足するとプロトロンビンが作用せず、それら血液凝固因子に不良品ができてしまい、血が止まらなくなってしまうわけです。この他ビタミンKには、骨へのカルシウム石灰化の調節をしたり、解毒作用や利尿作用もあるといわれています。

14.ビタミンK欠乏症はめったに起きませんがこんな症状は不足気味の疑いが……

ビタミンK欠乏症は、病気の場合を除きよほどのことがない限り起きません。実際、症例は非常に少ないのです。ただし、病的な欠乏症とまではいかなくても、次のような場合は不足気味である可能性があります。

生理の量が多い

ケガをすると血液がとまりにくい

歯ぐきから出血しやすい

打ち身のあざがなかなか消えない

疲れやすく顔が土気色をしている

大便が黒っぽい

15.ビタミンKの所要量と豊富に含まれている食品

ビタミンKが豊富に含まれている食品にはチーズ、バター、レバー、緑茶、ブロッコリ、キャベツ、レタス、ほうれんそうなどがあります。特に緑茶とほうれんそうには多量のビタミンKが含まれています。もっとも緑茶100gを摂取するのは容易ではないでしょう。

ビタミンK1日の所要量は日本では特に決められてはいませんが、アメリカでは大人場合100μgとされています。大体の目安として、毎日納豆1パック、ほうれん草2分の1束ほどをとっていれば不足気味になることは、まずありません。

なお、脂溶性であることから、油脂で調理すると吸収がよくなります。特に緑黄色野菜や牛レバー、納豆を良質の脂と組み合わせると、量、吸収率とも効果的にアップできます。

6章  健康を保ち、不快な症状を解消するためのビタミン活用法

1.ビタミン不足の人はけっして少なくありません

2.病気とはいえないささいな症状の原因が、実は軽いビタミン不足だったりします

3.生活・習慣別ビタミン活用法

4.体調・症状・病気別ビタミン活用法

1.ビタミン不足の人はけっして少なくありません

これまでの各章でビタミンの重要性はわかっていただけたと思います。ところで、あなたは十分にビタミンをとっているでしょうか。現実的には、あなたを含めた現代日本人には、欠乏症などはまず無いとされています。最近の厚生省の国民栄養調査でも、ビタミンを始めとする各栄養素の摂取量は、カルシウムを除いて所要量をだいたい満たしているとなっています。

しかし、この調査結果はあくまで日本人の平均値です。その人の体質や年齢などにより吸収される率にも差があるでしょう。また、この調査は献立からの計算で、食品からの計算ではありません。食品を加工したり調理するときに失われるビタミンの量は計算に入っていないのです。

さらに、同じ食品であっても、産地や収穫時期、天候条件、品質、流通過程によってビタミンの量に差が出てきます。特に温室栽培や養殖など人工的な育成方法をとった食品には、どうしてもビタミンが減少しがちです。そのうえ、少ないビタミンがより失われている白米食、加工食品などを多食し、ビタミンを消費しがちな清涼飲料水やアルコールなどを多飲するといった現代の食生活特有の傾向も見逃せません。要するに、調査のうえではビタミンが足りていても、また豊富な食品が氾濫する時代ではあっても、現代人にとってビタミン不足は必ずしも無縁とはいいきれないのです。

2.病気とはいえないささいな症状の原因が実は軽いビタミン不足だったりします

疲れが残って体がだるい、イライラする、夜眠れない、頭が重い、食がすすまない、寝起きが悪い、肩がこるなどの症状を抱えている人はいませんか。病院に行くほどのこともないし、かりに行ったとしても「別に異常はありません、自律神経失調症でしょう」と片づけられてしまいがち。こんなとき疑っていいのが軽度のビタミン不足です。事実、不定愁訴と呼ばれるこれらの半健康症状を訴える人の30%近くが「潜在性ビタミン欠乏症」の可能性を持っているともいわれます。

また、偏食の人、片よった食生活や不規則な生活を続けている人、ダイエットをしている人などに、この「潜在性ビタミン欠乏症」が深く静かに蔓延しているといわれます。それでは、不足しがちなのはどのようなビタミンがでしょうか。共立女子大学の稲垣長典教授の分類によると、次のようになります。

少し油断をすると欠乏症になりやすいビタミン

AB1B2CD5種類

まれに欠乏症が起こるビタミン

B6、ナイアシン、葉酸、B12EK6種類

注意する必要のないビタミン

上記以外のビタミン

もし、あなた自身「潜在性ビタミン欠乏症」に思い当たる節があったら、次から紹介してある「ビタミン活用法」を見て、自分にどのビタミンが必要かを知り、そのビタミンを積極的にとれるような食生活を心がけていただきたいものです。

3.生活・習慣別ビタミン活用法

ビタミンはバランスよくとることが大切です。しかし健康を維持するために、生活や習慣に応じて多くとることが必要な場合もあります。また習慣が変われば、必要なビタミンも変わってきます。ビタミンの栄養素としての働き(生理的作用)をじょうずに活用しましょう。さて、あなたにとって、いま必要なビタミンは何でしょうか?

ストレス過多の人

ストレスの強い人や、ストレスのたまりやすい環境にいる人は、ビタミンCAを多くとるようにします。特にビタミンCがポイントです。ストレスが多くなると、体内のCが減少します。

ストレスを解消しようとして副腎が副腎皮質ホルモンを大量に作ってエネルギーを増大させて対抗するからです。特にCはこのホルモンを作るときに大量に使われるのです。

外食やインスタント食品をよく利用する人

外食中心者や、インスタント食品を多くとる人は、つとめてB1をとるようにします。外食はめん類や定食、それにパン類と、どうしても糖質の多いものになってしまいます。糖質が多いということは、それをエネルギーに変えるビタミンB1が多量に必要になるということです。

甘いものに目がない人

ケーキやあんみつなど甘いものならいくらでもという人はB1をとるようにしてください。糖の代謝にはビタミンB1が不可欠だからです。ジュースやコーラなど糖分の多い清涼飲料水が好きな人や、習慣的に飲んでいる人も、同様な理由からビタミンB1は必要です。

生活が不規則で睡眠不足気味の人

深夜生活者や徹夜族は、ビタミンB1B2Cをとってください。特にB1B2はたっぷりと。ビタミンB1は糖質を、L3は脂肪をエネルギーに変えるときに必要なので、エネルギーの消耗による疲労が少しでも軽くなるのです。

仕事の上でチームワークが不可欠な人

ビタミンB1を切らしてはいけません。B1が不足すると、情緒が不安定になり、イライラして爆発しやすくなるからです。また、非協力的になり、判断力や記憶力も低下します。これは、脳のニューロン(神経細胞)に栄養を与えているビタミンB1の欠乏が、脳になんらかの悪影響を及ぼすためではないかと考えられています。

激しいスポーツをする人

スポーツ選手はもちろん、テニスやジョギングなどをする人は、スポーツをした後にビタミンB1Cをとるようにします。はげしいスポーツは人間の体にとって一種のストレスになるためビタミンCが必要なのです。またエネルギーを生み出すためにB1が大量に使われるので補給が必要になるわけです。

ダイエット中の人

ビタミンB1B2B6B12をとるよう心掛けます。とりわけB2B12をとるようにしてください。B2は脂肪をどんどん燃やして、体内に蓄積しないようにいつも掃除してくれるビタミンです。ビタミンB12は細胞分裂に必要な核酸を作るビタミンです。ですから、ダイエット中には、蓄積された脂肪をエネルギーとして活用し、新陳代謝を盛んにするこの2つのビタミンはぜひとも必要なわけです。

タバコを吸う人

ヘビースモーカーはもちろん、タバコを吸いすぎたときにビタミンCAをとってください。

1日に20本以上タバコを吸う人は、血液中のビタミンCの濃度が、吸わない人に比べて40%も低いと報告されています。また、タバコ1本吸うと体内のビタミンC25mg破壊されるといわれます。1日の平均C摂取量(所要量は50?)120mgですから、タバコ5本を吸うと全くなくなってしまうわけです。そこで、破壊されたCを補充するためにビタミンCを多めにとります。Aは粘膜保護のためです。

お酒を飲む人

ビタミンB1Cをたっぷりとります。また、Aをふつうの人より多くとる必要があります。常習的飲酒で問題になるのが、肝臓の中に脂肪が異常に増加してしまう脂肪肝です。こんな人は肝硬変になりやすいので、アルコールの代謝に必要なB1、脂肪肝を防ぐB2B12をとるわけです。また、アルコールをとると、B1の腸での吸収が悪くなるためもあります。Cには、アルコールの分解の途中に生じる悪酔い物質(不完全酸化物質)アセトアルデヒドを減らす効果があるのです。ビタミンAをとるのは、アルコールをとることによって肝臓に貯蔵されているビタミンAの量が減少することが動物実験によってわかっているためです。

二日酔いをしたとき

ビタミンB1を中心としたビタミンB群と、ビタミンCをとります。ビタミンB群は肝臓の働きを活発にし、アセトアルデヒドを早く排出してくれます。ビタミンCには解毒作用があります。

4.体調・症状別ビタミン活用法

ビタミンは、気になる体の不調や症状の改善にも生かせます。この項では、ビタミンの健康増進効果を最大限に利用した「体調・症状別ビタミン活用法」を紹介します。思い当たる症状があったら、指示されたビタミンが十分とれるように食生活を改善しましょう。ビタミン剤の利用も考えられますが、それについては第7章をご覧ください。

カゼ

カゼをひきやすい人やカゼをひいたときには、ビタミンAB群、CEをとるようにします。

ビタミンCはウイルスを不活発化させるので、ひきはじめには効果的。Aは粘膜の炎症を防ぐという意味で必要ですし、B群は全身の新陳代謝を促進させ、Eは血流を増進させてカゼの治りを早めます。

やる気がおこらない、根気がつづかない

何をやってもどうも今ひとつおもしろくない、仕事にも気分がのらない……そういった無気力な人や不安感、脱力感のある人は、B1B2Eをとるようにします。

B1は、神経細胞が働くためのエネルギーとなるブドウ糖の触媒役をするので、神経の働きを高めます。またB2はエネルギーの根源となる酵素を作り出します。Eは気持ちをリラックスさせる働きをしてくれます。興奮した神経を休め、その緊張をもみほぐし、精神的な調整役を果たしてくれるです。また、Eは脳細胞の活動に必要な酸素をとりこむ手助けをします。

シミ、ソバカス

シミやソバカス対策には、Cをとってください。シミ、ソバカスは、メラニン色素が皮膚に沈着することから起こりますが、Cには還元作用があり、その色を薄めてくれます。

シワ、肌荒れ

AEをたっぷりとるようにします。肌荒れやシワ予防には肌を乾燥させないことです。Aは細胞と細胞を結合するコラーゲンを作るのに関係しており、コラーゲンは保水生が高く肌をみずみずしく張りのあるものにしてくれます。Eは血行をよくし、皮膚の新陳代謝を活発にして肌に適度のうるおいと張りを保ってくれます。

ニキビ

ACEをとるようにします。Aはニギビの特効薬といわれているほどですし、Cはホルモンの分泌を正常にしてニキビを防ぐ働きがあります。またEは皮膚細胞を若返らせてくれます。

便秘

CEB1をとること。Cの一種の副作用として大量にとると便が柔らかくなったり、下痢を起こします。天然の下剤といわれるほどです。Eも便を柔らかくしてくれます。便秘の中にはB1不足によるものがあります。便秘と下痢を交互に繰り返すのです。そこでB1補給を。また、B1は腸の働きを活発にしてくれます。

貧血

貧血を起こしやすい人はB12、葉酸、CEをとってください。B12と葉酸が特に必要です。この2つは別名血を作るビタミンと呼ばれ、最も直接に造血に関わっています。CEは血管を守り血液が血管から漏れるのを防いでくれますし、Cは鉄の吸収をよくしてくれます。なお、B6は、特殊な遺伝性の貧血があると不足します。

低血圧で冷え症

女性の8割までが冷え症という調査結果もありますが、これに効くのがEです。冷え症のタイプには

(A)実際に体温が下がって冷える、(B)体温は下がっていないが冷えると感じる、の2つがあります。

 (A)の場合は末梢血管の障害によるものですから、末梢血管を拡張させるEの働きで血のめぐりをよくしてくれます。(B)の場合はホルモンのアンバランスによるものですが、ホルモンとEとは密接な関係があるので効果的です。

頭痛

一般的にはCが有効です。なぜ効くかはまだよく分かっていません。鎮痛剤を使うときも、Cを併用すると、鎮痛剤の量を減らすことができます。また神経の代謝をよくする意味でB1をとります。まれに血管がケイレンするために起こる頭痛がありますが、それにはニコチン酸が効きます。

口臭

消化不良による口臭の場合、B群とCが効果的です。B群には整腸作用があり、Cには胃腸の中の有害菌を殺す作用があります。

じんましん(アレルギー)

B6を主に、Cもとります。アレルギーは、ヒスタミンが遊離して起こる症状です。これが皮膚で起こればじんましん、気管支で起こればゼンソクです。この遊離する反応を抑える物質をCは増加させます。B6には反応を正常に戻す働きがあります。

暗い所で物が見えにくい

ビタミンA不足によって暗順応が落ちたためと考えられるので、Aをとるように心がけます。
抜け毛が多い

B6、パントテン酸を主にしてB2、ニコチン酸といったB群をとります。毛髪はたえず抜けかわっていますが、根本の細胞も入れ替わっています。そこで新しい細胞を作るのにB群が必要です。

精力減退

まずCで体全体の健康状態をアップさせます。次にB1を中心に、B6B12を加えます。これによって、

神経の力を十分に発揮させて、勃起や射精のための脊髄反射を正常に保ちます。

◎ビタミン活用法は、貴方の食生活の栄養バランスのチェックにも役立ててください。

前項までのビタミン活用法は、生活の形態によって不足しがちなビタミンが出てくること、また、さまざまな症状や病気は、そのビタミンが不足がちであるため生じる可能性があり、あるいは消費されがちであるため必要性が増すという観点から考えたものです。

劇的な治療効果をあげるための方法ではありませんが、日々の食生活に注意することによって健康を回復させ、さまざまな症状の改善を促す一助にすることが目的といってもいいでしょう。あなたの食生活の栄養バランスをチェックするときにも、ぜひ役立ててください。

ビタミンはあくまで栄養素。食物からとるのが基本です。とはいえ、ビタミン剤なども無視できないのも確かです。

次章では、このビタミン剤についてお話しします。

7章 ビタミンをとるための二つの方法とビタミン剤のじょうずな利用法

1.ビタミンのとり方は2タイプ。 うまく組み合わせるのがポイントです

2.食品からビタミンをとるときのポイント 食品の選び方、調理法に工夫が必要です

3.ビタミン剤を利用するときのポイント(1) 素人判断で大量に飲んではいけません

4.ビタミン剤を利用するときのポイント(2) 効能書きに指示された量を守って飲みます

5.ビタミン剤を利用するときのポイント(3) 食事をおろそかにしないでください

6.ビタミン剤の知識(1)  医薬品のビタミン剤と健康食品のビタミン剤

7.ビタミン剤の知識(2)  どんなビタミンが含まれているかの見分け方

8.ビタミン剤の選び方のコツ

1.ビタミンのとり方は2タイプ。

うまく組み合わせるのがポイントです

ふつう、毎日、いろいろな食品(たとえば1日に30品目)を、正しく調理して、まんべんなく食べていれば、ビタミンは十分にとることができます。これが、ごく自然な形のビタミンと私たちとの関わりでしょう。こうした意味で、ビタミン剤からとるという方法は、本来あくまでも補助的なものです。

いうまでもなく、ビタミン剤をとって食事をしないでは栄養失調になってしまいます。食品派は正論ではありますが、どうしても偏食せざるをえない現代では、ビタミン剤利用派をいちがいにとがめるわけにはいかないでしょう。正しく食事をとると同時に、必要に応じ、その補助として正しくビタミン剤を利用するというのが、ビタミンとのじょうずなつきあい方だと思います。

2.食品からビタミンをとるときのポイント

食品の選び方、調理法に工夫が必要です

まず食品からビタミンをとるときにたいせつなのは、食生活のチェックと改善です。その際、次のような点に注意してください人工的な栽培による野菜のビタミン不足植物にとって不自然なハウス栽培などによってつくられる野菜は、どうしてもビタミンが減少しがちです。

たとえば、キュウリのビタミンC含有量は露地もの22mg(100g中)に対して、ハウスものは9mgというデータがあります。野菜はできるだけ自然に近い状態で栽培されたものを選ぶようにしましょう。

調理の際にもビタミンは失われる各章ですでにお話ししましたが、ビタミンは調理の際に失われます。調理の際の一般に見込まれる損耗率の大体の目安は、A=20%、B1=30%、B2=25%、C=50(四訂食品成分表による)本書の各章で紹介した損耗率の少ない調理法のコツを参考にして、じょうずに料理してください。

体質・年齢によって消化吸収率が違う

食物として口から入ったビタミンは、十二指腸や小腸から吸収されます。しかし、年をとると、この吸収力は落ちます。65才以上になると、その吸収力は半分に減るといいます。その上、年をとると、歯が悪くなったり、食も細くなるので、食べ物からとれるビタミンの量も減ります。そこで、ビタミンが豊富に含まれた材料を選ぶ工夫が必要になります。

3.ビタミン剤を利用するときのポイント(1)

素人判断で大量に飲んではいけません

ビタミン剤の利用でたいせつなのは、大量に飲みすぎないこと。

1章でお話ししたポーリング博士の著書がきっかけとなって、メガビタミンがブームになったことがあります。メガビタミンとは、ビタミンの大量服用のことです。その量は所要量の数十倍から数百倍。ポーリング博士はその著書の中で「ビタミンCを大量にとるとカゼを予防できる」「ガン患者にも延命効果を発揮した」と書き、ビタミンC大量摂取を唱えました。

ところが、これに対し、1985(昭和60)11月、わが国の厚生省と健康・体力づくり事業財団が作った、ビタミンCEのとり過ぎに注意を促すパンフレットの中では、「ビタミンCについて世界各国でいくつもの試験調査が行われた結果、カゼに有効という成績は得られなかった。現在、米国ではカゼとビタミンCの関係は公式に否定されている」と記すと同時に、ガンへの効果についてもアメリカのある医療施設が発表した予防効果を否定する報告を取り上げ、「アメリカ医学界はこの報告を高く評価する一方、ポーリング博士らの報告は科学性に欠けると判断している」と記しています。

一般に、ビタミンの働きは、細胞レベルなどではかなりわかってきましたが、人間の生理の仕組み全体では、まだまだ未解明の部分が多いといわれます。それなのに素人療法で、たとえばビタミンCを、ただやみくもに1日の所要量の何百倍も飲むのは感心できません。確かにCには過剰症はないといわれますが、純度100%近くのアスコルビン酸(ビタミンC)は、もはや薬物です。薬は基本的には毒だということを忘れてはいけません。本来は栄養素であるビタミンも、大量に服用すれば毒にもなりかねないのです。事実、先ほどのパンフレットによれば、Cを大量にとると肝臓の機能の一部が低下するという研究がある、と述べていますし、軽い胃腸障害を起こしたり、乳幼児はC依存症になりやすい、ともいわれています。また、アスコルビン酸はそれ自体酸性物質ですから、胃酸の分泌が多い人や、十二指腸カイヨウのある人には、好ましいとはいえません。

ちなみにビタミンEについても、過剰症は確認されていないとされていますが、先ほどのパンフレットによれば、市販のE剤を使っている人の中には湿疹、かぶれ、下痢などを起こしている例があることを述べています。また、大量にとると、血液を凝固させる働きのあるビタミンKと拮抗して、出血が止まりにくくなることが明らかにされています。

4.ビタミン剤を利用するときのポイント(2)

効能書きに指示された量を守って飲みます

前項でお話ししたような素人判断による無茶な大量摂取は論外として、では、ビタミン剤などはどのように飲めばよいのでしょうか。

水溶性のビタミンに関していえば、吸収率や利用率を考えると1日の所要量の23倍が適量という意見もあります。ただ、ビタミン剤は1錠あたりのビタミン含有率がメーカーによって違うので、計算するのは面倒でしょう。常識的な意見かもしれませんが、やはり、そのビタミン剤に付いている効能書きに示された量を守ることがいちばんです。

なお、持病がある人が長期的にビタミン剤を利用しようとするときは、たとえ補助的な栄養補給のためではあっても、いちおう医師と相談して指示を受けたほうがよいでしょう。

5.ビタミン剤を利用するときのポイント(3)

食事をおろそかにしないでください

ビタミン剤の利用はあくまで補助的なものです。ビタミン剤を飲んでいるからといって食事をおろそかにしたり、嫌いな食品をとる必要はないなどと思わないこと。というのは、ビタミンを効果的に働かせるには、やはり微量栄養素であるミネラルが必要だからです。

たとえばビタミンB1は、ミネラルのひとつマグネシウムが不足すると、本来の作用を発揮できません。B1が体内で作用するためには酵素が働かなければなりませんが、この酵素反応に関与しているのがマグネシウムだからです。食物には、このマグネシウムのようにビタミン以外にもさまざまな微量栄養素が含まれており、それらがビタミンと関連して相乗作用をしていることを忘れないでください。

6.ビタミン剤の知識(1)

医薬品のビタミン剤と、健康食品のビタミン剤

これまで単にビタミン剤といってきましたが、実はビタミン剤と総称されるものは、2つに大別できます。ひとつは医薬品としてのビタミン剤、難しくいうとビタミン主薬製剤です。もうひとつは医薬品ではありませんが、非常に医薬品に似ているビタミン食品です。

ビタミン主薬製剤は、厚生省によって一般用医薬品(大衆薬)のビタミン主薬製剤製造承認基準が決められています。つまり、どういう配合ならビタミン剤として認可されるかの基準があるわけです。しかも、新製品の場合、たとえば効果・効能が証明されなければ、認可=発売にはなりません。これはきわめてむずかしいといわれています。

また、ビタミン主薬製剤は、薬事法による基準にしたがって、内容成分とその量、用法、用量、効能、適応症の表示が義務付けられ、また表示することができます。一方、いわゆる健康食品(栄養強化食品、栄養補助食品など)と呼ばれるビタミン食品は、一般に、成分量などの基準が明確でなく、その代わり用法、用量、効能をうたえません。

薬事法によれば、原則的に医薬品と紛らわしい形状などをとることは許されていませんが、似ているか似ていないかは、結局、解釈の問題であります。薬っぽさを売りたいメーカーは、似ていないと解釈できる範囲で、できるだけ医薬品に近い形や包装を選択しがちです。つまり、医薬品のほうはかなり厳しい管理と制約のもとで生まれるのに、健康食品は内容表示もまちまちで野放しといってもいい状態なわけです。

そこで、これら2つの違いを見分けるポイントですが、医薬品は、薬局や薬店のみで販売され、商品のパッケージには「医薬品」と明示され、使用期限が表示してあります。それ以外のものは医薬部外品、つまり健康食品と思えばまちがいはありません。

なお、健康食品については、()日本健康食品協会の認定品(認定マークが付けられる)を選ぶことがひとつの目安になるといわれます。これは、健康食品のいわば交通整理のために設けられた制度で、868月から規格基準が公示されました。あくまで業界の自主規制ではありますが、審査内容は厳しく信頼性は高いといわれています。

7.ビタミン剤の知識(2)

どんなビタミンが含まれているかの見分け方

ビタミン剤のパッケージの成分表示や効能書きのどこをみても、たとえばビタミンAとかCとか記されていません。これは、すでにお話ししたように、各ビタミンは化学名を持っており、医薬品の含有成分は化学名で表示されるためです。

上に、よく使われる表示を紹介しておきました。なお、ビタミン剤の成分表示に誘導体という文字を見かけることがあると思います。これは簡単に言うと、ビタミンとしての作用を変えず、その性質などを変えたものです。たとえば、水溶性でも化学変化で誘導体を作り出し、油に溶ける型にできるわけです。同じように、脂溶性でも水溶性に転換できます。

8.ビタミン剤の選び方のコツ

ビタミン剤には総合ビタミン剤をはじめとして、さまざまなタイプがあります。この項では、これら各種ビタミン剤のじょうずな選び方のコツをご紹介しましょう。

目的をはっきりさせます

ビタミン剤を利用するのは何のためか、自分には何が必要か、それをどうとるのかをしっかり把握してから選びましょう。

栄養補助には総合ビタミン剤を選びます

食事のアンバランスによるビタミン不足が気になるなら、総合ビタミン剤を飲むのがいいでしょう。


ビタミンBB群複合剤を選びます

ビタミンB群は協力して働きます。B群のひとつだけをとりすぎると、他のB群といっしょに排泄されて、他のB群が不足するということがあります。主なB群を含んだ複合剤を利用しましょう。

ビタミンC剤は3カ月以内に飲める量を選びます

ビタミンCは酸化されやすいので、開封後3カ月以内に飲んでしまうようにしましょう。

ビタミンE剤はα-トコフェロール表示かどうかを見ます

ビタミンEの化学名はトコフェロールで、これにはαβγなどの種類があることはすでにお話ししました。中でも人間に最も効果があるのはα-トコフェロールです。Eを買う場合はαがどのくらい含まれているか、つまり純度を成分表示で調べてから買いましょう。